【Q&A】着物と長襦袢の合わせ方、格・季節・着物と襦袢のサイズの関係・その1

着物好きなお友達から、「紬にはどんな襦袢? 袷の着物に単の襦袢もあり?」といった質問をいただきましたので、ワタシの長襦袢事情をお答えさせていただきます。

◆最近の着画から ~夏の長襦袢はやっぱり白が好きです! 

・小千谷縮(水色ストライプ)に絽麻の長襦袢
・紗の小紋に絽の長襦袢(正絹)

※必ずそうするということではないですが、麻には麻、絹には絹を合わせることが多いです。 その方が涼しいという話を聞いたことがあります。

地域的なものや、着付流派などでの相違点もあるかもしれないですが、一例として参考にしていただけたら幸いです。

Q:単衣の紬に木綿や麻の襦袢はありか?

A:結論から言えば、ありです。

ただ、単衣の紬と言ってもいろいろあるので、いつ? どんな単衣紬で着るのか? で、話が違ってくると思うのです。

まずは、単衣の着物に合うと思う「手持ちの長襦袢」について書きますね。 

単衣の着物に合うと思う「ワタシの長じゅばん」

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一推しは「色付きの麻襦袢」・東レ爽竹の色柄モノ

単衣の着物用にと長襦袢を探すなら、ワタシ的には「色付きの麻襦袢(平織)」か東レ爽竹の色柄物をおすすめしたいと思います。

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おすすめの理由としては、以下の3つ。

  • 着心地が良い(涼しい)
  • 家で自分で洗える
  • 長く着られる

麻は、志賀麻・小千谷縮など。 どちらかと言えば「カタモノ(紬)」や綿・綿混のものに合うと思いますが、正絹の単衣に着ても良いと思います。 汗かきな方は、普段着なら通年着るという方もいるそうです。

私は「どんな色にも合わせやすそう」という理由でグレーを選びましたが、お友達は淡いパープルの麻襦袢を愛用されています。 涼しげで上品で、とても素敵です。 

漆黒色の麻襦袢は、夏の透ける着物の透け感を抑えてくれるので、「単衣時期から薄物を着られて便利」と聞いたことがあります。 便利そうですが、着物上級者向けのテクニックかなーと思います。 ちょっと難しそうですね。

東レ・爽竹は、どんどん進化しているので、できるだけ最新のものがよろしいかと。 単衣着物の袖口からチラ見えして違和感がないもの(色柄)なら、やわかものにもカタモノにも合いますし、単衣だけでなく袷の着物にも着られます(冬はのぞく)。 

楊柳や紋綸子の単衣襦袢

正絹の楊柳(畝がある)や、単衣襦袢用の紋綸子(薄手)タイプは、単衣時期の手前におすすめです。

カタモノに着るか? タレモノに着るか? は、長襦袢の色柄によると思いますが、暑いのを我慢して無双袖の長襦袢(袷用)を着るくらいなら、あまりこだわらずに着ちゃって良いと思います。 (もちろん普段着ならという条件付きですが。)

下のタイプは↓セミフォーマルまで着れそうな単衣襦袢です。 付下げや紋付の色無地に着るなら、こっちを着ます。
単衣用の長襦袢は、袖口が耳になっているものが多く、薄くて軽めの生地質です。 5月・9月をメインに着ます。

楊柳のタイプは、カジュアルにもよそ行きにも使えて便利です。 こちらも袖口は耳です。 よく見ると楓(紅葉)に流水柄が入っています。 骨董市で見つけた楊柳長襦袢を解いて、袖丈長めの単衣着物(正絹・吉澤与市)の内袖として、くっつけてしまいました。 

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普段着きものを着だした頃は、最初の「夏前の時期」に着る長襦袢が無くて、とても困ったんですよ。 当時は単衣袖の長襦袢なんて持っていないのに、着物の袖丈・裄丈がバラバラだったからです。 苦肉の策として、単衣襦袢を見つけて買っては、全部「嘘つき」にしちゃったんですよねー

他にも、ペラペラな銘仙みたいな生地や紬にも着れそうな「むじな菊」も単衣袖を作りました。 今はもう出番がないですけど、普段着初心者当時は、良く着ていました♪  単衣袖の長襦袢は、カジュアルなら4月からOKです。

5月下旬は、絽・紗の襦袢も。

絽や紗の襦袢は、5月半ば過ぎあたりから着ても良いと言われています。 一般的には、色付きの麻もこの時期から着るのが良いらしいです。 真夏の長襦袢はやっぱり「白」が良いなと思うので、5月下旬~6月あたりは、淡い色の絽・立絽・紋紗を着たいなーと思っています。

盛夏に着たい白い夏襦袢!

7月8月の盛夏は、透ける着物を着ますので。 涼しげに見える「白い襦袢」が良いですねー

小千谷縮や志賀麻、近江麻など。 シワになりやすく・着ていて膨れるといった困ったもありますが、やはり涼しいし、着心地が良いです。 汗をかいてもすぐに乾くし、手洗いできるしー  トスコ麻というポリ混麻も人気です。 価格もグッと手ごろになります。 (ただし、リサイクルの昔の交織ものは暑いことが多い気がするので、ご注意ください)

正絹の絽の襦袢は、本当はプロのお手入れに出すべきですが。 ドライだけでなく、汗抜きという工程も必要なので、ワタシは自分で洗っています。 最初に大きめのサイズを買って、一度水にさらしてからサイズを合わせると、2度目からはそう縮まないので問題なしです。 ものによっては、少しボソボソした感じになりますが、アイロンをかけると戻ります。

なんだか、紬に麻襦袢が合うか?という話ではなく、季節と長襦袢の話になっちゃいましたね。 詳しくはこちらでも書いていますので、合わせてどうぞ!

長襦袢の種類と季節

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着物に袷や単衣があるように、長襦袢も季節に合わせて選びます。 と言っても、長襦袢は下着ですから~ あまり人目につくものではありませんので、暑いか?寒いか? 個人…

単衣の紬と言ってもいろいろあるので。 いつ?どんな単衣紬で着るのか? 

ほっこり系・地厚な紬の単衣着物の場合。

例えば「結城紬の単衣」です。 呉服屋さんで誂えてもらった着物ですが、これは袷にするべきでした。 



こんなに分厚い単衣の着物は、GW明け~6月になんて着れません。 初めて袖を通したのは、10月でした。 10月なので、普通に「袖無双・胴単衣」の一般的な長襦袢を着たと思います。

このところ着ていませんが、普段着ですからね。 木綿やウールの着物感覚で、暑い時期を外して袷のように着てしまおうと思います。 なので、着物は単衣ですが、長襦袢は無双袖のものを着ます。 

お初で着た時の記事

単衣に仕立てた「結城紬」の着物デス♪ 初めて袖を通してみました~

お誂えで仕立てていただいた結城紬に、初めて袖を通してみました~! なんだか「ドヤ顔」に写ってますケド~(笑) この紬の反物は、ずいぶん前に義母が買ってくれたもの…

下の着物も「ほっこり系」の無地紬です。 上の結城ほど厚くないですが、節があるので「見た目に涼しそうではない」です。

この着物も10月に着ることが多いので、袷用の「無双袖・胴単衣」の長じゅばんです。 もし、10月上旬で暑いだったら、楊柳単衣や志賀麻・グレーの長じゅばんを着ると思います。 

ツベっと系・シャリっと系。薄手な紬の単衣着物の場合。

大島紬のようなツベっと薄い生地感の単衣ですとか。 塩沢紬のような、シャリ感のある単衣ですとか。 こうした単衣は、本来の単衣時期である「6月・9月」とそれに近い時期におすすめです。

この着物を6月に着るなら、半衿も絽にして、麻・絽・紗の襦袢にします。 色は上旬は淡い色、下旬は白い襦袢にするかなぁ。


その他↓こんな単衣の着物も着ます。 黄色の2種は、袷の八掛と胴裏を外して単衣にしました。
更紗は化繊。 グレーは、節があるけど薄手の紬です。 着る日の「気温・天候」によって、長襦袢を選びますけど、グレーの麻にしちゃうことが多いかも。

縮緬やテレっとしたタレモノ単衣の場合

右側、上下は正絹・縮緬地の単衣です。 なめらかですが、割としぼは大きいタイプなので、6月には暑い感じがします。 むしろ4月の半ば過ぎから着ても良さげに思うので。 4月だったら、爽やかな地色の袖無双・胴単衣のお襦袢にして、それ以降は単衣袖の紋綸子や楊柳襦袢かな。 あまり汗をかきたくないので(手入れが大変)、初夏は避けて、春すぎ&仲秋(9月中~10月中)に着るかもです。

左側、秋草の小紋単衣は、少しシャリっとした質感です。 白地なので、やっぱり仲秋あたりかな。 9月なら単衣袖、10月なら袷用の正絹長襦袢を着ます。

綿紬や綿麻の単衣着物の場合

上の写真の「綿麻着物」は少し透け感があります。 東京だったら、GW明けくらいから9月いっぱいくらいに着るのが良いかなぁと思っています。 博多献上の八寸名古屋帯を締めていますが、6月半ばの着用なので、長襦袢はオフホワイトの絽を着ました。 今なら、白の麻襦袢を着ると思います。

綿紬の着物は、少し節のある地厚な生地です。 でも、衿裏に「絽」が使われていますので、単衣着物として作られたものなのだろうと思います。

とは言っても地厚なので、6月に着るにはキビシイ感じ。 5月と9月いっぱいが良いかなあ。 グレーの麻襦袢、東レの爽竹、楊柳の2分式襦袢が合いそうです。

単衣の紬に木綿や麻の襦袢はありか?まとめ

なんだか、話が右往左往してわかりにくくなちゃいましたが(汗) まとめると、↓こんな感じ。

◆単衣の紬に木綿や麻の襦袢は、あり。 ポイントは・・・・・・

  • 単衣紬の素材感や厚さによって、着る時期を選ぶ。
  • その時期に合わせた長じゅばんを選ぶ。(仕立て・素材・色・絽目の有無など)

※綿の長襦袢は、2分式やポリエステルとの加工品(ワンピース式)しか持っていませんが。
 透けない単衣紬の中に着るならアリと思います。 ただし、木綿素材は裾除けにすると足さばきがとても悪いです。
 汗の吸いは良いのですが、乾きもイマイチとも言われます。 
 綿や綿麻浴衣に着る「ゆかた下」のような用途は良いですが、正絹の紬には向かないかも。

 ※※海島綿や綿薩摩のような、高級品なら話は別です。

 海島綿の絽襦袢なら、麻絽と同じ感じかと思います。
 綿薩摩の長襦袢は、レアですね。 単衣・夏用のものでも、通年使えるそうです。

袷の着物に単衣の長襦袢はあり?

普段着用の袷着物であれば、単衣の長じゅばんを着て大丈夫です。 麻の襦袢や、楊柳・爽竹襦袢など。

逆に、単衣の着物に袖無双の長じゅばんを着ることもあります。 どういう着物を「単衣着物」と呼ぶのか?という見解にもよりますが、ウールや木綿は、そもそも通年「単衣仕立て」の着物ですし。 紬であっても、地厚のものなら、単衣に無双袖を合わせても、違和感はありません。

>>あくまでワタシの私見です。間違っていたら教えてください~ その2へ続く。

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