衿付き・足袋あり♪ 「街着」として着る高級浴衣
「高級浴衣」ってどんな浴衣?! 夏着物として着る「高級浴衣」についてです。
高級浴衣(こうきゅうゆかた)とは?
単に高額商品というもののほか、衿付き・足袋ありで着ることができる浴衣を「高級浴衣」と呼ぶことがあります。
- 職人技や伝統の技法で作られた「高級=高価」な浴衣をさす場合。
- 例えば、老舗竺仙さんの長板中形・注染・引き染めのような匠の技を用いたものは、やかり価格もリッパです。 有松鳴海絞り・雪花絞りといった手絞りの浴衣も同様ですね。
お値段が高い=高級な浴衣です。
- 半衿を付けて足袋を履いて「夏着物」としても着られるような浴衣を指す場合。
- 絞り・紅梅・縮(ちぢみ)・綿紬など、素材感がある、夏らしい生地のゆかたは、衿付き・足袋有で「名古屋帯を締めて」も着られるものがあります。 絹紅梅のように透け感があったり、奥州小紋のように素敵な素材感のある浴衣は、半衿を入れて着物としても素敵です。
ただ最近では、海外製や大量生産された「なんとなく似ているけど、安価な商品」も存在しますので、「綿紅梅だから高級浴衣」などと一概には言えません。 また、いくら高額な浴衣であっても、平織り綿コーマの浴衣に半衿は合いません。
そう考えると「高級浴衣」という表現は、とらえ方が結構難しいですけどね~
ポイントは、半衿と足袋。そして名古屋帯です。 「夏着物として街着のようにも着られる浴衣」は、夏の薄物としても使える「高級浴衣」となります。
「高級浴衣」を街着として着るって?
「街着として着る」=着物として昼間に着る、お出かけに着るという意味です。
半衿つけて・足袋を穿いて・名古屋帯を締めて。
「ゆかた」と呼ばれる部類の着物であっても、衿付きで名古屋帯を締めて着られるものならば、日中に電車でお出かけしても大丈夫です。 下駄ではなく草履を履けば、ちょっと良いレストランや美術館などにも行けちゃいます。
高級浴衣を着る時期
浴衣をいつ着始めるのかは、地方によって違うそうですが、東京では古くから「三社祭から」といわれていると着物の本で読みました。三社祭り・・・5月半ばですよね? 浴衣を着るにはまだ早い気がしますが、お祭りや家でくつろぐためであれば、良いのでしょうね。
一般的には「盛夏(7月8月)に着る」とされている浴衣なので、お出かけに着るのであれば、6月下旬くらいからになるかと思います。(蒸し暑い日の普段着レベルで)
ただ高級浴衣には、単衣時期にも向いていると言われる「地厚タイプ」の浴衣もあるんですよね。 (奥州小紋、綿紬、綿縮など)
薄物(夏着物)としてではなく、カジュアルな単衣着物として着るのであれば、4月下旬くらいから良いのでは?と思います。 こうした地厚タイプのものは、逆に真夏は暑すぎるってことになるのですよね~
※衿付き・名古屋帯で着ていますので、一応高級浴衣と呼んで良いかと思っています。
生地質的に「単衣時期~盛夏まで着られそうな浴衣」であっても、柄が初夏には向かないという場合もありますね。 秋草柄だったり盛夏を思わせる柄の場合は、5月6月にはまだ早いように思います。
高級浴衣の素材
街着としてきる高級浴衣には、紅梅・綿絽・綿縮・綿麻・綿紬などがあります。
各素材の特徴等については、別ページに書きました。 よろしかったらこちらもどうぞ。
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高級浴衣の着こなし
江戸の女性は、紺地を昼用に、白地を夜用に・・・という着方をしたそうですが、今ではそういったこだわりも薄れているようです。 白い着物は夜目に映えると良く言われるようですが、白地だから夜用ということでもありません。
「街着に着る浴衣の帯は紗献上で、白・朱・黒・黄色・緑・紫地などの帯を、角出し・半巾結びといった涼感のある結び方で締めます。」と、古い本に書かれていましたが。 「紗献上」と限る訳でもないですね。 ざっくりとした八寸帯や麻帯、軽めの印象の帯であれば九寸名古屋でも合うものがあります。
帯の結び方も、もちろん普通のお太鼓結びで構いません。 帯枕を使わない方が涼しく締められるということで、「角だし」が推奨されているようではありますが。
街着として高級浴衣を着る場合には、半幅帯で良いかどうか?は賛否両論ありそうです。 浴衣ですから、半幅帯が合わない訳ではないのですけど。 半幅帯は超カジュアルなので、「ご近所を歩くワンマイルウエア」と同じくくりの帯になります。 「電車に乗って出かける時には、半幅帯は使わない!」と強くおっしゃる方もおられるくらいです。
ですので、「ちょっと近所でお友達とランチ」なんて時には良いと思いますが、お出かけ用として「着物」のかわりに高級浴衣を着る場合には、名古屋帯を締めていただいた方が良さそうです。
ワタシのお気に入りの「高級浴衣」
以下、以前書いた記事のリライトですが。 ワタシが思う「街着として着る高級浴衣の代表格」として、ご紹介します。
絹紅梅の浴衣
絹紅梅は、地の糸と格子状に織り込まれた糸の太さが極端に違うので、透け感が増し、涼しげな印象になっています。
綿糸で格子状に織った物を紅梅織(勾配織、高配織)と言って、格子部分以外を絹で織ったのが【絹紅梅】、格子部分以外も綿で織ったのが【綿紅梅】というのだそうです。 どちらも格子は、太い木綿糸が使用されます。
表面にできた凸凹(勾配)で、生地が肌にはりつかず、さらりとした心地よい着心地を得られます。 綿紅梅はシャリ感があり、さらりとした地風が魅力です。
絹紅梅・綿紅梅とも、浴衣として素肌に着ても良いそうですが、絹紅梅は透け感が強いので、長襦袢を着ないというのは難しいかもしれません。
裾よけは「7月・8月はつけなくても良い」と聞いたことがありますが、本当にとても透けますからね。 下ごしらえは、きちんとされた方が良いと思います。 絽・綿クレープ・麻素材などが向くそうですが、ステテコも涼しくて足さばきが良いので人気があります。
足元は、塗り下駄であれば素足で。 衿をつけたら足袋付きです!
白木の下駄や草履でしたら、足袋は麻か木綿が良いようです。 草履は、エナメルでも構いませんが、パナマ柄、麻草履などが合うと思います。 ワタシは「カレンブロッソ」がお気に入りです。
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有松絞り浴衣
有松絞りは、 デザインに合わせ糸で括って、防染(染料がしみこまないようにすること)して染めることにより、糸を抜いたときに染まらない部分が白く残って、様々な模様を作り出す染色の技法です。 糸の括り方で、何種類もの模様を作ることができます。
伝統工芸氏による染色の風合いを楽しむことができる有松絞りは、糸を括る技法が100種類にも及び、その数は世界一といわれています。 細い糸を使い織り上げているため、涼しく軽やかで質感はやわらかく、肌あたりが優しいのが特徴で、まさに「高級浴衣」です。
有松の浴衣地は、巾・丈が充分あることが多いので、上背のある方にもオススメだと聞いています。 スッキリと無地場を多く取ったものは、大人向きの意匠です。 柔らかい立体感がたいへん美しく、涼やかな着心地をお楽しみになってください!!
☆有松浴衣は綿素材のため、色落ちを止める「藍止め加工」が必要です。 その際、絞りのシボは伸びてしまいます。 シボを残す程度の加工では、色移りの可能性が残ります。 また、寸法による巾出しの加減でシボの伸び具合が変化しますので、丸巻きの状態よりも、出来上がりの印象は白場が多くなるとイメージしてください。