【Q&A】着物と長襦袢の合わせ方、格・季節・着物と襦袢のサイズの関係・その2

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紬の着物に綸子や縮緬の長襦袢だと、着物と長襦袢の格が合わないってことはないの? みんな着物一枚ごとに、サイズ合わせて長襦袢を仕立てるなり買うなりしてるの? というお話です。

お友達の質問にお答えしたいなーと思って書きました。 あくまで私の私見です。 その1は、長襦袢の季節についてのお話です。 ぜひ、併せてご覧ください。

【Q&A】着物と長襦袢の合わせ方、格・季節・着物と襦袢のサイズの関係・その1

当サイトは、アフィリエイト等の広告を掲載して収益を得ています。着物好きなお友達から、「紬にはどんな襦袢? 袷の着物に単の襦袢もあり?」といった質問をいただきま…

紬の着物に綸子や縮緬の長襦袢だと、着物と長襦袢の格が合わないってことはないの?

ご質問の内容って、多分↓こういうことですよね? ピンクやパステルの下のような長襦袢を、右の紬のような着物に着ても良いのか?ってことであってるかな?

結論から言うと、格が合わなくて「なんか変~」という事はあります。
(長襦袢に「格」という表現を使うのか?は疑問ですが。 格と言うより「用途」かなぁ。)

ただ、上の二枚の長襦袢だったら、ワタシは右の結城紬にも着ちゃいます。 結城に限らず、大島でも米沢でも黄八丈でも着ちゃうかな。 

要は、着て出かけた際に、袖口・振り・裾からチラ見えした長襦袢に違和感を感じるかどうか?ってことです。 振りや裾はそう見えないですが、袖口からは思ったよりも見えるので。 「着物上級者は、長襦袢にこる」というのは、この袖口のことだと思います。


袖口から「オーソドックスなピンクや淡いカラーの一般的な長襦袢」がチラ見えしたとしても、そういう方は案外多いので、あまり気にしないように思うからです。

薄いピンクやパスエルカラーの長襦袢は、割とオールマイティーに使えちゃいます。 てか、着物を着よう!と始めたばかりの方は、むしろそうした長襦袢しか持っていないのが普通ですから。

◆1番最初に作った長襦袢(向かって右側)

 着付け教室で使い込んでボロボロになりました。 その後も、小紋や紬に合わせて着まくり、もう30年くらい使っています。
 あまりにボロボロになったので、新しくセミフォーマル用に作ったのが左の長じゅばんです。(袖無双胴単衣)

光沢のある白い長襦袢は「おや?フォーマル用だな」と思う方もいるかもしれないですけど、ダメ出しする方はいないんじゃないかな? 紬という普段着物に着ているのなら、ある意味本人の自由だし~

留袖など、フォーマル用の長襦袢。本来はフォーマル専用ですが。
以前着付けの先生に、「それしかないなら、着てもいいわよ」と言われたことがあります。

ご自身が「襦袢と着物でTPOが違う」と気になるかも?ですが、自宅で自分で着る場合には、出先で袖口・振り・裾から長襦袢が見えないように頑張っていただければ・・・・と思います。 無理して慌てて買わずとも、ゆっくり気に入った「カジュアルな襦袢」を探してください。

むしろマズイのは、フォーマルの訪問着に、下のようなカジュアルな長襦袢を着ちゃった場合ですね。 


上の取り合わせは、どう見たって変なので。 和服の知識がない方でも、着る前に気が付くだろうと思いますが。 また、お子さんなら、晴れ着に合わせてモスリンの長襦袢も着ますけど。 大人の場合は、モスリンも無いですね。(ウールや木綿には着るかもですけど。)

化繊(ポリ)で構いませんので、訪問着や付下げ用の長襦袢を着るべきです。 最近は、振袖(レンタル)の長襦袢も化繊のものがほとんどです。 安い=格が低いという事ではありません。

もし、喪服用の白い長襦袢があるのであれば、それでも良いと思います。(喪服はフォーマルです) 

フォーマル・セミフォーマルというシーンの場合、対人関係が伴うはずなので、相手や同席の方の失礼になってはいけません。 着物に合う長襦袢を着るのが、礼儀になります。(言わずもがなですね。すみません)

紬用の長襦袢とは?

紬用と限定している訳ではありませんが、カジュアルな長襦袢というのはあります。 小紋柄、縞、チェック、濃い色、渋い系などの襦袢です。

森田空美さんの著書に、長襦袢のコレクションが紹介されている写真がありました。 1ページだけですが、興味のある方はぜひ。


ワタシの持っている「袖無双=袷用の長襦袢」を撮ってみました。 ワタシの場合、セミフォーマルにも使えそうな長襦袢は、タレモノ(小紋や江戸小紋、無地着物)に着ています。  雀の襦袢は、地色がマットな白ですが、カタモノによく着ます。

クリックで大きく見れます。

ハマるとあれこれ欲しくなって、寸法を直して着ようと思って買った「まだ着れない長襦袢」が他にもいろいろあります。(苦笑)

みんな着物一枚ごとに、サイズ合わせて長襦袢を仕立てるなり買うなりしてるの? 

ワタシの場合、最初は嘘つきや大ウソつきの長襦袢で対応をしていました。

  • 嘘つき襦袢=袖を簡単に取り換えて使える長襦袢。
    衿付きの半襦袢に、袖をマジックテープやスナップボタン、ザクザク縫いなどで取り付けて着る。二部式が多い。
  • 大嘘つき=装道の美容衿(あずま衿・仕立て衿)などを使用し、袖だけでなく衿も取り外し可能なタイプ。
嘘つき
衿付き半襦袢に替え袖の嘘つき。

嘘つき長襦袢の場合、裄(肩幅や袖幅)は着物に合わせて調節することが可能ですが、袖丈はムリです。 プラスマイナス2㎝くらいなら、そのまま着てしまいますが、着物の袖丈が53cm もあるのに長襦袢は48cmしかないとなると、もうどうにもなりません。 振りから襦袢の袖が出ちゃうし、短いのがあからさまにわかります。

やたらと2分式襦袢が増えてしまったのは、このためです。 袖丈をいろいろ変えて、替え袖を保持する必要があったから。

しかしながら、そのうちうんざりしてしまいまして。 仕方なく「自分でお直しできるようになりたい!」と和裁を習いはじめた次第です。

着物のサイズ、長襦袢のサイズを揃える! 肩幅・袖幅・袖丈が大事~

カジュアルな着物。 フォーマルな着物(カジュアルより裄長め)。
この2つに絞って、着物のサイズを揃えてしまえば、長襦袢やコートのサイズに困ることがなくなります。

大事なのは、肩幅・袖幅・袖丈です。

  • 着物と長襦袢の肩幅は同寸=着物の振り(みやつ口)から長襦袢が出ない。
  • 着物の袖幅よりも、長襦袢は1㎝ほど控える=袖口から長襦袢が出ない。
  • 着物の袖丈よりも、長襦袢は1cmほど短い=袂(袖底)でもたつかない。

女性の場合、前幅・後幅・衽巾(通常決まってる。15㎝くらい)といった身幅は、極端に広いとか狭いとかでなければ、着付けでなんとか着てしまうことができます。

身丈も、大体身長くらいの長さがあれば、おはしょりや腰ひもの位置でなんとかなります。

身幅と身丈は、着物のサイズと長襦袢のサイズで、あまり関係がありません。(むしろ身長が大事)

※但し夏物は透けるので、着物の着丈マイナス2cmが長襦袢の着丈となるようにします。

でも、肩幅が着物と違うと、振りや身八ツ口から長襦袢が出てしまいますし。
袖幅違うと、袖口から長襦袢が出たり、着物の袖口が汚れちゃったりしますし。
袖丈が違うと、袂で襦袢があまったり、短すぎて袖から飛び出したりしちゃうわけです。

なので、ワタシの場合は、以下のようにカジュアル着物の寸法を決めています。

  • 肩幅:34cm
  • 袖幅:35cm(襦袢はマイナス1cm)
  • 袖丈:49cm (襦袢はマイナス1cm)


    ※本当は、33.5cm・35.5cmの方が、着姿のバランスが良いのですが、そうすると反物幅が足りないことが多くなるので、肩を34にしています。

    ※衿下寸法は、84cmになるように極力直します。 おはしょりから2~4㎝衿先が見えるのがベストで、通常は身長の半分目安です。 ワタシは腰紐の位置が少し高いので、この寸法です。

着物や襦袢を買うたびに、いちいちサイズを直すのは大変なので、嘘つきでごまかしたり、袖の中で長襦袢をつまんだりもしちゃいますけど。

羽織や道中着コート、雨コートなど、他にもいろいろ合わせないといけないものがあると思うと、いっそ寸法を揃えてしまうのが楽なのです。(お誂えなら作る時に指定すれば良いですが、ほとんどリサイクル着物なので)

袷の着物を自分でお直しするのは勇気がいりますが、長襦袢は着ちゃえば下手でも見えないですし、案外簡単に直せます。

サイズの合った着物や長襦袢を着るようになると、着姿も自然とキレイになっていきます。 「無理やりでも、着付けでなんとかすればいいや」と思っていましたが、やはり寸法って大事なのです。 サイズが合っていると、着崩れることも少なくなります。

【Q&A】着物と長襦袢の合わせ方・まとめ

ということで、長くなりましたが、まとめです。

綸子の襦袢は、紬に着れるか?

着れます。 最初は、ピンクや淡い色の襦袢が1枚あれば良いです。 留袖・色留袖・喪服は白い襦袢じゃないとダメですが、他の類の着物であれば、オールマイティーに使えます。 普段着なので、木綿やウールに着てもダメではないです。 ただ、普段使いしちゃいますと、当然いたみます。 高価な長襦袢しかない場合は勿体ないので、1枚カジュアル用を買い足しても良いですね。

着物毎に長襦袢のサイズは合わせるか?

枚数を持たないのであれば、嘘つきで対応したり、この着物にはこの襦袢と決めてしまっても良いですが。

長い目でみたら、着物のサイズ自体を揃えてしまうのが良いです。 当然、襦袢も上着も、サイズが揃うので、着回しが自在になります。 着姿もキレイになります。

最後になりますが、これまたおせっかいなことですみません。

これから着付けのお稽古を開始されるとのこと。 嬉しいです。 着物を着る方が増えるというのは、本当に嬉しい~

ぜひ、お稽古の行き帰りは、着物を着て通っていただけたらなーと思います。 やはり練習会場で着るのと、自宅で一人で着るのとでは違います。 最初のうちは頻繁に着るようにしないと、すぐに手が忘れてしまいますから、「家で着付けて出かける」という機会をたくさん作っていただけたらイイナーと思います。

お稽古着は、洗える着物で構わないです。 ただ、ポリと正絹の着物では着付けの勝手が違うので、正絹の着物も着てください♪

近い将来、着物でご一緒できたら嬉しいです!

by きりまる

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