【色掛け】生成り・十字絣の能登上布を濃茶に染めていただきました!

汗ジミが出てしまっている生成り色の能登上布です。 
汗ジミ

上布色掛け

このままでは着れそうにありませんし、プロにシミ抜きをして頂いても「キレイにはなりそうもない」ということでしたので。
そめの近江さんにお願いをして、汗ジミと同じ色めの濃い色で、色掛けをしていただきました!
とてもキレイなお色に染め上げてくださいましたよー!

生成り・十字絣の能登上布

能登上布(のとじょうふ)は、石川県鹿島郡の中能登(鹿西町・羽咋市)あたりで織られている麻の平織物です。
細かな十字絣は「蚊絣(かがすり)」とも呼ばれます。
能登上布

「さらりと軽くて涼しくて」と夏に人気絶大の麻着物ですが、特に細い上質な「苧麻の糸」で織った麻布を「上布」と言うそうです。 能登上布は、代表的な上布として知られる麻織物の1つです。

そんな能登上布のお着物なのですが、残念ながら上の写真のように、汗ジミが背中にどばーっと出ておりまして。

衿や袖口にも、結構ガツッと。
衿のシミ

袖口の汗ジミ

夏物ですから、汗シミは出やすいですしね。
生成り色ですから、シミの色が目立ちますしね。

仕方のないことではあるのですが、さすがにこのままでは着れません。
かと言って、ハギレにしたり・着物以外にリメイクするには惜しすぎます。

そめの近江・経堂店さんに相談したら、「汗ジミがわからなくなるようなお色に? いいですよ、色を掛けてみましょう」と言っていただけたので、ヨカッタです。

色掛けの色見本

汗ジミが目立たない色となると、やはり茶系になりますね。
色見本を見せていただきましたが、たくさん色がありすぎて、どの色にしようか?決められなくて。

色見本1

色見本2

色見本3

色見本4

解いた反物を脱色して、一度白生地に戻して染めるのとは違い、色掛けの場合は元の地の色が残りますから、色見本で選んだ色と同じ色に染まる訳ではありません。

能登上布の特徴的な蚊絣も、もしかしたら濃い色でつぶれてしまって、ただの無地になってしまうかもしれませんし。 こればっかりは、実際に染めてみないとわからない、「ある意味冒険」なのだと伺いました、

ただでさえ色見本から自分に似合いそうな色が選べないのに、微妙に色が変わるとなると、それこそどう色を選んで良いのか?わからなくって~

結局、店長さんと同行してくださったお友達(美大卒!カラーコーデ得意)に「これかこれ!」と2色に絞っていただき、3368番に決めました♪

色掛け3368

コロナが蔓延する前の2月下旬のことでした。

能登上布の色掛け・仕上がり♪

割と早くに、そめの近江さんから「素敵なお色に上がりましたよ!」とお電話をいただいたのですが、コロナ禍でなかなか取りに行けずにおりましたけど。
6月末に、ようやく出来上がった反物を手にすることができました!

能登上布の色掛けあがり

ホント、いい色!
上布の色掛け

正直言うと「どんな色を選んだのか?」、すっかり忘れてしまっていたのですけどね~(笑)

色見本の写真と比べてみると、ほぼほぼ同じお色に仕上げていただけたようです。蚊絣もしっかり残してくださいました。

もちろん汗ジミも消えていますよー! 嬉しいです。ありがとうございますーーー!!
能登上布の蚊絣

十字絣の能登上布

能登上布+小千谷縮の淡色長襦袢地

麻の着物には麻の襦袢!ということで。
薄グレーの小千谷縮の襦袢地と重ねてみていただきました。
麻の襦袢地

麻の襦袢と能登上布

白い盛夏の襦袢も涼し気で素敵ですが、洒落物だったら淡いお色もいいですねー!!
色付きの麻の襦袢は、単衣時期にも活躍します。(上布は盛夏のみですが)

色を掛けて仕立て直す、着物愛♪

なぜか?古い着物や帯に惹かれますので、古物商まで取ったワタシ。 セカンドハンドの着物に手を入れて、もう一度世に出すことに喜びを感じています。

そんなワタシが、最近すごく素敵な本に出逢いました。 青木玉さんの「着物あとさき」です。

お母様の持ち物であった着物や反物を蘇らせるべく、職人さんや工房さんを訪ねて、その妙技をご紹介してくださっています。

解いて洗って仕立て直して。 それができる和服ってすばらしいなーーーーっと!!

そんなこともあり、今回、色掛けで能登上布が見事な再生を果たしたことに、大満足しているワタシです。
能登上布リメイク

能登上布解き洗い

もしもご自宅に、シミや汚れ・サイズが合わないなどの理由で、箪笥の肥やしになったままのお着物があったならば、ぜひ、呉服屋さんや悉皆屋さんにご相談になってみてください。

色を掛けたり、白生地に戻して染め直していただくことができたなら、着物やコートに仕立て直して、もう一度お召しいただくことができるかも?です。
反物自体サイズが小さい場合は、着物に直すことは難しいかもしれないですが、帯にだったらできることが多いですし。
お子さん用の着物に直すという手もあります♪

今回の色掛けにかかった費用

今回かかった費用は以下の通りです。

  • 着物の解き:1540円
  • 色掛け・端縫い:18700円

※解きは自分でやればO円です。 今回はキズを付けたくなかったので、プロにお願いをしました。
※仕立ては自分でやります。 依頼する場合は仕立て代がかかります。(2万円くらい)
※衿裏や居敷当てなどの付属品が必要なこともありますが、新品を誂えるよりはかなりお安くできると思います。
※上布(麻)なので、手入れは自分で洗うことを考えて、撥水加工は依頼しませんでした。

吹き出しきりまる

料金は、着物・反物の種類や状態によって変わりますので、一度お見積もりを取ってみることをおすすめします。
見積だけなら無料でお願いできると思いますので、あまりに高額になるようでしたら、諦めるという選択肢もあります。

ワタシは、まずはこの能登上布の仕立てを頑張らないと!なんですけどね。
もう1枚、上前の裾にドバーっと汚れが付いた「明石上布」がありますので、次はこちらもお願いしたいと思っています~

◆そめの近江さんの公式HPはこちら
>>ホーム > お手入れ > 傷みの激しい着物の処方

そめの近江

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【色掛け】生成り・十字絣の能登上布を濃茶に染めていただきました!” に対して4件のコメントがあります。

  1. くりはな より:

    全く同じような状態の越後上布を入手し、シミ抜きどうしよう?自分でできないものか?などと大胆にも思ったりしましたが、古い汗ジミは取れないということでしょうか?
    でも、色掛けという手がありましたね。とても素敵なお色に上がってよかったですね。
    色を選べば蚊絣も残るのですね。参考になりました。大切にしたいと思います。

    1. きりまる より:

      当ブログをご覧いただき、ありがとうございます。

      できれば汗ジミを、染み抜き、もしくは洗い張りで落としていただきたいと思い相談してみましたが、時間が経っている汗ジミや黄変は、落ちないそうです。 多少薄くなるかもしれないけれど、キレイにはならないということでしたので、シミが目立たない色で染めていただきました。  

      実際にやってみないと、染めても色の違いが残るかどうかわからないとのことでしたが、今回は成功でした。良いお色でシミはわからなくなりました。

      自分で仕立て直して、先日出来上がったところですので、この夏着るのを楽しみにしています。

      越後上布、良いですね〜 素敵に蘇りますように!

  2. まおぷう より:

    曾祖母が嫁いだとき,曾祖父に仕立てた蚊絣の越後上布の着物。蔵に放置しすぎて,アクや汗であろう薄茶のシミが海のように広がり,白地にポツポツと茶色のそばかすシミが全体に! しかも恐らく60年以上放置されてるよ・・このシミ,泣くに泣けない。今ではこんなに細い糸紡げないよなぁ。捨てるに捨てられないと,悩んでおりましたが,ダメもとで近所のクリーニング店に持ち込みました。50年以上経ったウェディングドレスのシミをキレイに抜いてくれる店です。費用はいくらかかっても良い,納期もおまかせでお願いしたところ,新品のようになって戻ってきました。嬉しすぎて泣いてしまった・・納期は1ヶ月ぐらい,費用も6千円でした。以降,他店で断られたブランドのヴィンテージもの(シルクブラウスとか)や大正・昭和初期の着物等々のシミ抜きをお願いしています。

    1. きりまる より:

      まおぷうさま
      コメントをいただき、ありがとうございます。管理人きりまるです。
      シミだらけの着物が新品のようになって、6000円というのはびっくり仰天の安さです! 染色技師さんだと、1cm1000円と言われました。
      ワタシ、自分が7歳に着た晴れ着がシミだらけなんです。 あちこち持ち込みましたが、どこも「無理」と言われてしまいました。
      まおぷうさまご利用の店舗様は、どちらの地域でしょうか? 宅配で送って・・・・・なんて、受けていらっしゃらないかしら?

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