【コラム】きものの花咲くころ~きもの役立ちグラフィティ
ブックオフさんから『1000円以上で500円OFF』というお得感のあるクーポンを頂いたので、ふらりと店頭に立ち寄って、素敵な本を見つけました。 「主婦の友」90年の知恵. きものの花咲くころ です。
2006/9月刊行の本なので、もう15年も前の古書ですけどね。 雑誌「主婦の友」から、きものに関する記事や写真を、なんと大正から平成まで! いいとこどりでご紹介くださっているという、大変見ごたえのある本でしたよ!
きものの花咲くころ|田中 敦子 (著): 主婦の友社
本の帯には「大正、昭和、平成の「主婦の友」誌面に見るきもの役立ちグラフィティ。日常着としてのきものに関する90年分の記事を、現代のきものエディターの目で見直してみたら、びっくりするほど新鮮なきものの魅力が、古い誌面から浮かび上がりました。」と書かれています。
著者の田中敦子氏は、1986年に「主婦の友社」へ入社され、雑誌編集部に勤務され1986年に退社された後は、フリーランスに。 和楽や七緒、森田空美さんの本にも関わっていらっしゃるというすごい方だそうです。
そんな田中さんが、創刊号からの主婦の友を読み込んで、「今の時代に知りたいこと・役に立つこと・おもしろいと思えること」をテーマに、膨大な記事のなかから厳選して紹介してくださっているのが、この本の中身です。
戦前ー戦後と大きく変わっていく着物事情も興味深いですが。 まるで「花子とアン(NHK朝ドラ・2021年2月現在再放送中)」に登場するお嬢様達の衣装のような写真を見るのも楽しいですよ~
花子とアン 完全版 Blu-ray BOX-2
ビックネームや大女優さん達がずらり
第一章「きもの、うるわし」で紹介されている瀬戸内晴美さんの「きものずいひつ」は、1965年連載時のものだそうです。 当時は晴美さん、今は寂聴さんですね?
1965年って、実はワタシの生まれ年だったりします。
出産当時まだ二十歳という若さだった母の想像しながら、5月の帯・ゆかた・9月のひとえなど「こういう着物コーデが人気だったのかぁ~」と感慨もひとしおです(笑)
そして、エッセイの挿絵のように掲載されている着物姿のモデルさん写真は、新珠三千代さん、岡田茉莉子さん、岸田今日子さんなど、若く美しい大物女優さん達がずらりなのです。
その他、白州正子さん・幸田文さん・山崎豊子さんといった超ビッグな方々のエッセイも掲載されておりますし、他にもまだまだ思わず「おお♪」と嬉しくなってしまう女優さんがたくさん登場されているんですよ。
主婦の友100年「きもの宝典」で、「きものの花咲くころ」再び
「きものの花咲くころ」は主婦の友の創刊90周年記念として刊行されておりますが、それから10年後に再び「きもの宝典」として、改修版が出版されているようです。
Amazonの商品ページに「90周年のときに刊行した「きものの花咲くころ」に若干の修正を加えて、カバーを変えて刊行します」と書かれているので、大体は同じ内容なのかと思いますが、どんな点が修正されたのか?ちょっと気になるところではありますね。
着物と流行
洋服のように毎年毎年「今年はX色がきてる!」とか「昨年はロングだったけど今年はセミロング」みたいな、あからさまな流行ではありませんけど。 和服にだって、やっぱり流行はありますよね。
母の若い頃は、お正月には「ウールのアンサンブル」を着た女性でいっぱいだったと言いますし、ワタシの卒園・卒学式の写真には「色無地に黒羽織」を着たママ軍団が、写っています。 これって「ブーム(流行)」と言って良いですよね。
「PTAと羽織の蜜月」と題して、田中さんも60-70年代の黒羽織ブームについて言及されています。 80年代には終焉を迎えたと書かれているのですが、その理由が「戦後の合理主義、その必要性が薄れたからなのか~」となんだか一人で納得してしまいました。(違っていたらすみません!)
また、第二章の「きもの、温故知新」を読むと、袋帯・名古屋帯がわりと新しいものであることや、白足袋・白半衿が戦後主流になったものだということがわかります。
その他にも、帯締めの長さや絞りの帯締め、便利な着付け小物など。 「時代時代で、いろいろ変わってきてるのねー」とうなずいたり、「へぇ~そうなんだ?!」と感心したり。
着物を着ることが当たり前であった時代にも、着付が上手くいかない人が大勢いたし、あの手この手で「お洒落な着姿と快適な和服生活」を追求していたのだということがわかって、今も昔も「主婦(女性)の悩みはおなじ」なんだなーと、楽しく拝読させていただきました。