洋服地を使って作れる「半無双袖」の作り方です。
半無双袖に必要な布地のサイズ
- 必要な長さ:(着物の袖丈+4cm)×2
- 必要な巾:襦袢の上がり袖巾+12cm以上
長着からの割り出し寸法 | |
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袖丈 | 長着 -0.5~1cm |
袖巾 | 長着 -0.5cm |
必要な長さ
必要な長さは「襦袢の袖丈+0.2+0.4+なりゆき」です。
長襦袢の袖丈を48cmと決めたとすると、【48+0.2(キセ)+0.4(袖底縫い代)+なりゆき】X2です。 (なりゆきには、袖底のキセも含みます。)
長着(着物)の袖丈を49cmとしての計算なので、冒頭の式に当てはめると(49+4)X2=106cmということになりますね。
必要な巾
袖口と振りの返し(くけしろ)を多く取ることで、「無双袖」のように見せるので、上がり袖巾+12cm以上必要です。
袖口側を1cm+5cmの6cmと決めて、そこに袖巾を足した残りが6cmになるようにしたいのです。
◆例えば:着物の袖巾35cm=長襦袢の袖巾34.5cm
→布巾は46.5cm以上欲しい
そうなると、反物ではキングサイズでも足りませんから、洋服地の方が向いているということになる訳です。
反物で半無双袖を作る場合は、くけしろに入る位置・もしくは袖の中央でハギを入れることになると思います。
半無双袖の作り方・手順【動画】
半無双袖の作り方を動画にしました。
◆【半無双袖の作り方】服地でOK♪替え袖(付け袖)~嘘つき袖を作りました♪
動画では、大人の礼装用ポリ長襦袢を解いて、子ども用(五歳晴れ着)の長襦袢の袖を作っています。
袖丈52cmにしたかったのですが、長さが足りなくて、袖底の始末がイレギュラーな感じになっていますが、手順自体は同じです。
大人用の替え袖を作る場合も同様ですので、ぜひ作ってみてください。
半無双袖の作り方・手順【テキスト】
- 1:中表にして標を付ける
- ・布地は中表で、袖山を輪に2つに折ってください。
・手前が耳・右手側が袖底になるように、布端をピッタリ合わせて平らに置きます。
・動かないように、マチ針で固定すると良いです。
(裁ち板が無い場合は、アイロン台を使ってください。)
・下記の図のように寸法をとって標を付けます。
※ヘラやチャコで標を付けたら、糸じるしをしておくと、あとあと縫いやすいです。
- 2:外表にして袖底を縫う
- ・布を外表に返して、袖底から0.4cmのところを縫います。
・袖巾+2cm(両脇1cm)を並み縫い(1本どり)で縫います。
- 3:中表に戻して、袖底を毛抜き合せにアイロンでおさえる
- ・布を中表に返して、袖底を毛抜き合せにします。
- 4:袖底を端から端まで縫います。
- ・前袖と後袖の標を合せてマチ針でとめます。
・袖山から袖丈+0.2cmの標を縫います。
・縫いはじめと縫い終わりは返し縫いをしてください。
・並み縫い(1本どり)で、端から端まで縫います。
- 5:キセをかける。
- ・袖底の縫い代にキセをかけます。
・縫った針目が少し見えるくらいで、縫い代を手前に倒してください。
・縫い代は前袖側に倒します。(左右が同じ向きにならないように気を付けてください。)
・アイロンでおさえます。
- 6:耳側1cmを折り、くけしろをマチ針でとめて縫う。
- ・耳側1cm(袖口側)を折って、アイロンをかけます。
・袖底の縫い目と袖山をマチ針でとめます。
・くけしろ(5cm)を折って、三つ折ぐけするためのマチ針をうちます。
・三つ折ぐけで縫います。
- 7:裁ち切り側1cmを折り、くけしろをマチ針でとめて縫う。
- ・裁ち切り側1cm(ふり側)を折って、アイロンをかけます。
・袖底の縫い目と袖山をマチ針でとめます。
・くけしろ(なりゆき)を折って、三つ折ぐけするためのマチ針をうちます。
・三つ折ぐけで縫います。
- 8:当て布をしてアイロンで仕上げる。
- ・当て布をしてアイロンで仕上げたら完成です。
半無双袖の使い方
中袖にする
特殊な袖丈の着物に合わせて作った場合は、着物のそでの内側に縫い付けて「中袖」として使います。
衿付き半襦袢、もしくは「美容衿+肌襦袢」を着て、筒袖を中袖に通せばOKです。
半襦袢(肌襦袢)の筒袖に縫い付ける
今回ワタシが作ったのは、このタイプです。
子ども用の肌襦袢に衿をつけて、筒袖に「半無双袖」を縫い付けています。
子ども用でも大人用でも、理屈は同じです。
着物の裄丈に合わせて、長襦袢の裄を変えたい場合には、縫い付けないで「マジックテープ」や「スナップボタン」で留めるようにすると良いですね。
ただし、嘘つき長襦袢は「礼装用」には向きません。
普段用で使ってください~